資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い) 課題の整理を進める(労政審の労働条件分科会)
厚生労働省から、令和4年9月13日開催の「第178回 労働政策審議会労働条件分科会」の資料が公表されました。
今回の議題には、「資金移動業者の口座への賃金支払」が含まれています。
資金移動業者の口座への賃金支払とは、いわゆる給与のデジタル払いのことです。
次のような制度設計案の骨子が示されていますが、労働者保護に欠けることがないように、慎重に課題の整理が進められています。
<資金移動業者の口座へ賃金支払を行う場合の制度設計案(骨子)>
(1)使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の⑵の方法によることができるものとする。
※銀行口座への振込、一定の要件を満たす証券総合口座への払込は、引き続き可能。
(2)次の①~⑤の全ての要件を満たすものとして、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への資金移動
(指定の要件)
① 破産等により資金移動業者の債務の履行が困難となったときに、労働者に対して負担する債務を速やかに労働者に保証する仕組みを有していること。
② 労働者に対して負担する債務について、当該労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰すことができない理由により当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。
③ 現金自動支払機(ATM)を利用すること等により口座への資金移動に係る額(1円単位)の受取ができ、かつ、少なくとも毎月1回は手数料を負担することなく受取ができること。また、口座への資金移動が1円単位でできること。
④ 賃金の支払に関する業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること。
⑤ ①~④のほか、賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。
(3) 厚生労働大臣の指定を受けようとする資金移動業者は、①~⑤の要件を満たすことを示す申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。厚生労働大臣は、指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)が①~⑤の要件を満たさなくなった場合には、指定を取り消すことができる。
「給与のデジタル払いについて、政府は、令和5年4月にも解禁する方向で最終調整を進めている」といった報道もありますが、思惑どおりに事が進むのか?
今後の動向に注目です。